配属ガチャ失敗 不本意な配属は何が辛いのか
不本意な配属の辛さは、単に「仕事が大変だから」といったものとは違い、多くの場合、次のような要素が重なって、じわじわと精神的な負担になります。
仕事内容に納得感がもてない
一番に感じる辛さは「仕事内容に納得感がもてない」ことだと思います。理系大学院まで進学した人ほど、「研究経験を活かした仕事がしたい」「専門性を磨きたい」という思いが強いはずです。にもかかわらず、配属された部署が自分の希望とかけ離れていると、毎日の仕事にやりがいを見出しにくくなります。
私の場合、大学での研究経験を活かした業務を希望していましたが、研究とはかけ離れた試験グループへの配属となり、試験作業を繰り返す日々や新しいことにチャレンジできない日々に不満が膨らんでいきました。
希望の部署に配属されなかった場合、
「なぜこの業務内容なのか」
「自分がやりたいことはもっと他にある」
と感じてしまう人も多いでしょう。
成長していく未来が描けない
目の前の業務はこなせるようになっても、希望の業務内容と乖離がある場合、それが次のキャリアで評価されるイメージが持てないのです。不本意な仕事であるからこそ、今やっている仕事が将来につながっているのか分からず不安を感じてしまいます。
この状態が続くと、時間だけが過ぎていく感覚になり、何を目標に取り組めば良いのか分からなくなってしまいます。
モチベーションを保てない
不本意な業務内容だからこそ、上述したような「納得感がもてない」「成長していく未来が描けない」状態に陥り、いまの仕事を続けていくモチベーションが保てなくなります。
「3年耐えろ」、それって本当に正しいのか?
新社会人に対してよく言われる「最初の3年は耐えた方がいい」という言葉。これは本当に正しいのでしょうか。
このアドバイスには一般的に以下の理由が背景にあると考えています。
- 社会人として基礎が身に付く
- 一通りの業務がこなせるようになる
- 転職する際に早期退職と思われにくい
特に第二新卒の場合、転職の理由を厳しく見られるのも事実だと思います。実際、私も新卒3年目での転職活動では、辞める理由を厳しく追求されました。
この点だけに限って言えば、「3年耐える」は合理的にも見えます。
ただし、問題なのは「3年耐える」ことが誰にとっても正解とは限らないことです。
「3年耐えろ」というアドバイスは
- 今の仕事が次に繋がる
- 環境が致命的に悪くない
人にとって初めて意味をもつものになります。
もし今の配属が、
- 希望と大きくかけ離れている
- 市場価値が積み上がらない
という状態であれば3年という期間は「経験」ではなく、取り戻せないコストとなってしまいます。
ここで一番避けなければならないことは、「耐える」ことが「停止期間」になってしまうことです。
- 環境が変わるのを待つだけ
- 不満を抱くだけ
これでは3年を耐えても何も状況が好転しません。
本来の「3年耐えろ」とは
- 専門分野のスキルアップ
- 次の選択肢の準備
など戦略的な期間であるべきです。
結局のところ3年という期間が大切なのではなく、重要なのは耐えた先に何を得られるかです。
- 今後、状況が良くなる可能性はあるか
- この部署でスキルアップは狙えるか
- それは希望の仕事に活かせるものか
これらに明確に答えられないのであれば耐えることが目的になってしまっている可能性があります。
考えた上で「耐える」ことはあり、何も考えずに「停止」することは非常に危険だということです。
次の章では、「耐える価値があるケース」とそうでないケースを整理します。
耐える価値があるケース
配属ガチャ失敗=すぐに転職、とは限りません。
希望と異なる配属になっても、一度腰を据えた合理的な判断が必要です。
もし、以下のケースにいくつも当てはまるなら、今すぐの転職は必要ないかもしれません。
希望職種に近いスキルが身に付く
ここでは例に商品開発を希望していて、配属が生産技術になった場合を想定します。もし担当する仕事で以下のような仕事に携われるなら、それは必ずしも無駄な経験とは言えません。
- 商品開発のフロー全体について理解が深まる
- 製品そのものの知識が身につく
- 部品の加工方法に関する知識が身につく
こうした経験は将来、商品開発をする上で確実に活かせるもので、ここで耐える期間は決して無駄とは言えません。
むしろ、ここでの経験やスキルが将来の大きなアピールポイントになります。
異動、社内公募の実績がある
会社として、
- 積極的な異動がある
- 社内公募の制度がある
- 実際に異動した先輩社員がいる
このような実績があるなら今の配属が一時的なものである可能性は十分に高いと言えます。
逆に制度はあっても、ほとんど機能していないなら要注意です。
社員の育成に前向きである
- キャリアの相談ができる
- 研修を積極的に受けさせてくれる
- 任せられる仕事に成長の意図が感じられる
このような環境では学びの密度が高くなり、耐える期間での成長が見込まれます。
「雑に扱われていないか」が重要なポイントです。
ホワイトな労働環境である
希望職種を追い求めるがために盲点になってしまいがちですが、実は非常に大切なポイントです。いくら希望の仕事に転職できたとしても、そこがブラックな環境であれば次は労働環境で悩むことになります。多少の残業はどこでも起こり得るものの、
- 上限いっぱいまで残業することが当たり前
- 深夜残業やサービス残業が頻発している
- 慢性的に休日出勤が発生している
などの状態でなければ、一度立ち止まって考える時間を確保してみましょう。転職による労働環境の悪化も起こり得る可能性として見逃してはいけません。
早めに動いた方が良いケース
不本意な配属先で耐える価値がある場合もあれば、一方でできるだけ早く動いた方が良いケースも存在します。
以下の場合に当てはまるなら「まだ若い」「もう少し様子を見よう」と考えるより、行動に移す方が合理的と考えます。
希望職種に繋がるスキルが身につかない
今の業務を2、3年続けることを想像してみてください。
- 他社で評価されるスキルが身につきますか
- 職務経歴書に書ける業務内容ですか
- 自分の市場価値が上がっていく実感はありますか
こういったことに当てはまらないのであれば、時間が経つほど選択肢は狭まります。
特に理系職では「何をやってきたか」を厳しく見られるため、スキルアップが見込めない環境は致命的と考えて良いでしょう。
キャリアパスが固定化されている
異動制度はあっても
- 異動実績がほぼない
- 上司に相談しても流される
- 異動先が固定されている
こうした場合、今後も状況が変わる可能性は低いと考えた方がいいでしょう。
「いつか希望部署に行けるかも」という期待だけで何年も過ごすのはリスクが高いです。
環境を変える選択は決して逃げではありません。
一番危険なのは「不満を抱えたまま何となく時間が過ぎてしまう」ことです。
次の章では、実際に私が何を考え、どう判断して転職に至ったかを紹介します。
私自身はどう判断したか
結論から言うと、私は3年で区切りをつけて転職するという判断をしました。
配属直後から感じていた違和感
新卒で入社した会社では、研究職を希望していたにもかかわらず、配属されたのは試験を担当する部署でした。仕事自体が無意味だったわけではありません。
ただ、
- 研究開発とは距離がある業務内容
- ルーティン作業が多く、工夫の余地がない
- 自分が目指すキャリアに結びつかない
こうした違和感を配属当初から感じていました。
それでも「すぐに転職する」という選択はしませんでした。
理由は大きく次の2つがあります。
①社内での異動の可能性を探りたかったから
会社として異動制度は整っており、実際に研究部署に異動した先輩社員の話も耳にしていました。
上司や周囲の反応を見ながら、「現実的に動ける余地があるのか」一度きちんと確かめておきたかったのです。
②試験業務で得られるスキルや視点が少なからず研究職でも役立つと感じたから
例えば、
- データの妥当性を評価する視点
- 不具合を切り分ける思考プロセス
これらのスキルは将来研究職に就けた際にも必ず活かせる強みになると考えました。
それでも転職を決めた理由
ただし、「ずっと耐える」つもりはありませんでした。
実際に働く中で、
- 希望部署への異動の可能性が低い
- 業務内容が変わる兆しがない
という結論に至り、この状態がずっと続くなら環境を変える方が合理的だと判断しました。
転職という選択をしてどうなったか
転職後は、研究から商品開発まで関われる仕事に就くことができました。
幸いにも転職により下記を叶えることができました。
- 希望通りの仕事内容
- 年収アップ
- 残業時間の減少
新卒3年という若手でも評価いただき年収アップしたこと、そして何より仕事に対する納得感を得たのは大きかったです。
大切なのは、「ただ耐える」という状況を作らないこと。
私の経験から強く思うのは、受け身なスタンスでいることがリスクだということです。
耐えるにしても、動くにしても自分なりの基準を持って決める。
それだけで後悔するリスクは大きく下がります。
次の章では、私が実際にやった「転職準備の進め方」を具体的に紹介します。
判断を誤らないためにやってよかったこと
振り返ってみて、「転職をする」という判断をするうえで、やっておいて本当によかったと感じることがいくつかあります。
感情的な考えを整理した
不本意な配属であった場合、その不満はどうしても感情的になりがちです。
そこで、転職したい気持ちが感情的なものなのかどうか、整理するために一度冷静に書き出してみました。
- なにが嫌なのか
- そこに改善の余地はあるのか
「つらい」「しんどい」という気持ちを否定するためではなく、事実として何が起きているのか整理しました。
この作業のおかげで、勢いで転職に動くということは避けれたと思います。
自分の市場価値の確認
自分のスキルがどの程度通用するのか、客観的に確認しました。このとき社内で得たスキルだけでなく大学時代の研究ノウハウも含めて通用するスキルを整理しました。
具体的には、
- 転職エージェントと面談し客観的なアドバイスをいただく
- キャリア採用の募集要項を見る
といったことを行いました。
とくにエージェントとの面談は有意義で、自分では気づけない客観的なアドバイスを頂けました。
「今すぐ転職するつもりはない」と前置きした上で話を聞くだけでも、自分の立ち位置を確認するきっかけになります。
小さくても「実績作り」を意識した
やっておいて最も良かったと言っても過言ではありません。
正直、不本意な部署でモチベーションを保ちながら働くことは大変ですが、私は業務の中で実績として残る行動を意識しました。
例えば、
- 試験方法の効率化に取り組む
- データ整理のやり方を改善する
ひとつひとつの取り組みは小さいですが、「何を考え、どう行動したか」までをまとめると立派なアピールポイントになると考えました。
実際、転職活動では取り組んだ内容を具体的に説明し、評価してもらえる場面がありました。
期間と判断基準をもった
「いつまでに」「何をもって判断するか」を先に決めていました。
・3年目までに希望部署に異動できなければ転職活動
これを私の一つの指針に、だらだらと悩み続ける状態を作らないようにしました。
社内での異動に限って言えば、必ずしも3年目である必要はありませんでしたが、転職を視野にいれる場合は3年目が限度と考えていました。
と言うのも、転職をする場合、同じような職種での採用になることが一般的です。試験Gに長く在籍すれば、それだけ転職時に研究職で採用される可能性が低くなるリスクがありました。
第二新卒での活動であれば企業も大学での経験を踏まえてみてくれますので、たとえ今と違う職種での挑戦になっても問題ないと考えました。
一人で考え込まない
キャリアの悩みはついつい一人で考え込みがちです。視野を広げるためにも第三者の意見は非常に重要です。
私の場合、
- 転職エージェント
- 信頼できる先輩
- 他社で働く友人
と話すことで視野を狭めることなく情報収集できました。
転職する、しないにしても大切なことは後悔しない判断をすることです。
不本意な部署では、つい感情に引っ張られてしまいがちですが、きちんと整理した上で決断することが重要だと感じています。
結論:不本意な配属でも耐えるべきかどうかは期間ではなく【キャリアの成長】で判断すべき
ここまで希望とは異なる配属について
- 耐える価値があるケース
- 早めに動いた方がいいケース
- 私自身の判断基準
を整理してきました。
その上での結論は、判断基準は「キャリアの成長」だということです。
不本意な配属先に何年耐えるべきかに正解はなく、本当に考えるべきなのは、その環境でキャリアが前に進んでいるかどうかです。
成長を実感できる環境、将来につながるスキルが身に付く環境であるなら、希望の配属先でなくてもその時間には十分な価値があります。
逆に危険なのは
- スキルが積み上がらない
- キャリアの方向性が見えない
といった「時間だけが過ぎる状態」になっていることです。
こうした場合は、環境を見直すことを考えるべきでしょう。
社会人の時間は想像以上に早く過ぎていきます。
受け身になって「様子を見る」
そうしているうちにあっという間に数年が経ってしまうでしょう。
大切なのは「自分の判断軸」を持つこと。
キャリアの選択に絶対はありません。
だからこそ、
- 何を大切にしたいか
- どんなキャリアを目指したいか
自分なりの判断軸を持つことが大切です。
そうすれば耐えるという選択をしても、それが次のキャリアへの準備期間になります。
いま、転職という選択肢が浮かんでいるなら、
理系修士が転職市場でどのように評価されるのかを知ることも判断材料の一つになります。次の記事では、
「理系修士が転職で評価されるポイント」について整理して紹介します。


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